展示会のお礼
森のカケラ/ 野のカケラ
森を出ると草地が広がって、シロツメ草とタンポポが花盛り。
けたたましくヒバリが鳴き舞い上がる。
昼前、見上げる空はまぶしい。
幼い頃住んでいた簡素な家の北側には、アスパラ畑があり、角のない小さな墓石がいくつか立っていた。
その向こうに小さな祠のある森が見える。
まず、その森に一人で入ることはなかったが、母に連れられ何か目的があって踏み入れると、木漏れ日と腐葉土の匂い、、、黄色い長靴を履いている。
家はメスの秋田犬を飼っていた。
弟を負ぶった母と犬と私。
ある時、母はすごい形相で棒を振っていた。
うろ覚えだが、犬か私がマムシを踏んだのだと思う。
ここには色々な気配がある。
怖がりだったわけではないけど、暗い祠の前の竹の花入れに溜まった雨水の中に住むもの達も、当時の私には全部見えていたのかもしれない。
ざわざわと、いろんな気配を感じながら、背丈くらい伸びた笹を分けて明るい所へ出ると、犬もわたしも安堵した。
今考えると、ほんとうに小さな森だったのかもしれない。
おぼろげな記憶より
若月陽子
若月陽子さんの作品は、毎回私たちに新しい感動を教えてくれます。
私たちはその世界に癒され、時間を超えて旅をする。
美しいもの、優しいもの、命のこと、自然のこと、今までもこれからも続いていくこと。
淡々とけれども温かい作家の眼差しが、感情を押し付けず、清々しい。
薄紙に木口木版を刷り、それを何枚も重ねた新しいコラージュ作品は、墨絵のように儚くも美しく印象的で想像力をかきたてる。
soraでは四回目となる展示会ですが、とても思い出に残り幸せな展示会でした。
皆さまご来場いただきありがとうございました。
若月陽子さん、素晴らしい作品をありがとうございました。
sora
